弁理士の試験科目とは?おすすめの勉強法やわかりにくい免除制度も徹底解説します

本ページはプロモーションが含まれています

弁理士試験の受験資格には、年齢や学歴などの制限がないため、最後まで諦めず、しっかり学ぶことにより誰でも合格を目指せる資格です。

ですが、国家資格でもある弁理士試験は、難易度が高いことでも知られています。

特にここ数年合格率が下がっており、何度かチャレンジをしても、途中で諦める人も少なくないでしょう。

ではなぜそんなに難易度が高いのか!?

その理由はいくつかあると思いますが、試験範囲が広く試験科目により特徴が大きく異なっていることで、対策が難しいようです。

せっかく勉強をするなら、この試験科目の特徴を知り、より効率の良い勉強法で学習をしたいですよね?

この記事では、その試験科目の特徴や、わかりにくい免除制度についても、徹底解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

目次

弁理士とは?

そもそも弁理士ってどんな職業なのでしょうか?

また、難易度が高いのを知りながらも資格取得を目指す方々は、弁理士の何に魅力を感じ目指しているのでしょうか?

まずは弁理士について、基本的なところからご紹介していきます。

弁理士ってどんな職業?

弁理士は、特許や意匠、商標、実用新案といった「知的財産権全般」を取り扱う法律のスペシャリストです。

「知的財産」に関する専門家として、「知的財産権」の取得方法について相談を受けることや、自社製品を、第3者に盗用されたときの対策、他社の権利を侵害していないか等の相談を受けて、適切な助言をしコンサルティングを行うのも弁理士の仕事です。

知的財産権とは

人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などには、 財産的な価値を持つものがあります。

そうしたものを総称して「知的財産」と呼びます。

知的財産の中には特許権や実用新案権など、 法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利として保護されるものがあります。

それらの権利は「知的財産権」と呼ばれます。

引用元:日本弁理士会ホームページ (2023年2月25日現在)

弁理士の役割は、知的財産を権利化し、知的財産をめぐるトラブル等を解決することで、発明者の利益を保護することです。

弁理士の魅力とは?

やる気があれば年齢や学歴は関係ない

将来のためにも手に職を付けたいと思い、何か資格の取得を目指そうとしても、受験資格の条件に合わず諦めることも少なくありません。

しかし弁理士試験の受験資格には、年齢や学歴の制限がないため、努力次第で国家資格を取得できるところが大きい魅力のひとつでしょう。

やりがいのある業務内容

上記でも述べたように、弁理士とは発明者の利益を保護すること。

まずこれを聞いただけでも、やりがいがありそうですよね。

日々新しく生み出されている、技術や商品の研究開発には、ばく大な費用がかけられています。

それらの権利が法律で守られなければ、簡単に第3者に盗用されることになり、大きな経済的損失を被ることになります。

弁理士が知的財産を守ることにより、発明者を守り、さらには産業活動の健全化に貢献できる魅力的な業務内容ですね。

高収入

実力と経験により、高収入が期待できる点もとても大きいでしょう。

資格を取得してからも、弁理士としての業務経験を重ね、弁理士同士でのつながりを広げた先には、独立というビジネスチャンスも夢ではありません。

独立をしなくても、資格を持っている事で、企業によっては特別手当があるなど、収入アップのチャンスがあるのも弁理士の魅力でしょう。

弁理士の試験科目とは?

弁理士の職業や魅力について上記で述べてきましたが、実際弁理士になるためには、弁理士試験に合格する必要があります。(一部免除制度あり)

弁理士試験には大きく分けて3つの試験科目があり、特徴がそれぞれ大きく異なります。

この記事を読んでくださっている方の中には、初学者の方もいると思いますので、まずは弁理士試験ついて、ご紹介していきます。

弁理士試験の概要をおさらい【2023年最新】

ここからは2023年最新の、弁理士試験の概要をご紹介していきます。

過去に何度か弁理士試験をチャレンジされている方も、一緒におさらいしていきましょう。

2023年受験願書の入手方法

受験の申込みは、工業所有権審議会が交付する受験願書にて行う必要があるため、まずは受験願書を入手しましょう。

受験願書の入手方法は、以下の①~③の3通りの方法があります。

①インターネットから請求する方法

期間:2023年2月1日(水曜日)9時00分~2023年3月22日(水曜日)23時59分

以下のサイトから請求ができます。

インターネットによる弁理士試験受験願書請求ページ

(このリンクは、受付期間中のみ表示されます)

  • 受験願書請求ページにアクセスをして、メールアドレス・パスワードの登録をします。
  • 登録したメールアドレスに特許庁からのメールが届きます。【受信できるようにドメイン指定解除を事前に行ってください。】
  • 登録確認メールの指示に従い、指定されたURLにログインしてください。
  • 注意事項等を参照し、願書を請求してください。【間違いがないよう必要事項を60分以内に入力してください。】
  • 受付確認メールの受信。
  • 入力内容が印字された受験願書が、特許庁から2023年3月1日(水曜日)~順次、登録した住所に簡易書留郵便で届くので受領してください。【2023年3月1日(水曜日)以降に願書請求が終了した場合は、請求後2週間以内に郵送されます。】

        ②郵送で請求する方法

        期間:2023年3月1日(水曜日)~2023年3月31日(金曜日)必着

        <宛先>〒100-8915東京都千代田区霞が関三丁目4番3号

        特許庁総務部秘書課弁理士室試験第一班 宛て

        引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

        • 封筒の表面には【弁理士試験受験願書請求】と朱書してください。
        • 返信用の封筒【角形2号(240mm×332mm)に受験願書の送付先を明記】を同封して、上記宛先に請求してください。
        • 返信用の封筒への切手は不要です。

        ③直接交付を受ける方法

        期間:2023年3月1日(水曜日)~2023年3月31日(金曜日)9時~17時

        (行政機関の休日に該当する日及び、各経済産業局は正午~午後13時を除く。)

        交付場所

        • 特許庁

        〔東京都千代田区霞が関三丁目4番3号 特許庁庁舎1階〕

        • 日本弁理士会

        〔東京都千代田区霞が関三丁目4番2号 弁理士会館〕

        〔東京都千代田区霞が関三丁目2番6号 東京倶楽部ビル14階〕

        • 北海道経済産業局地域経済部産業技術革新課知的財産室

        〔北海道札幌市北区北8条西二丁目 札幌第1合同庁舎5階〕

        • 東北経済産業局地域経済部産業技術革新課知的財産室

        〔宮城県仙台市青葉区本町三丁目3番1号 仙台合同庁舎B棟1階(行政情報プラザ)〕

        • 関東経済産業局地域経済部産業技術革新課知的財産室

        〔埼玉県さいたま市中央区新都心1番地1 さいたま新都心合同庁舎1号館10階〕

        • 中部経済産業局地域経済部産業技術課知的財産室

        〔愛知県名古屋市中区三の丸二丁目5番2号 中部経済産業局総合庁舎4階〕

        • 近畿経済産業局地域経済部産業技術課知的財産室

        〔大阪府大阪市中央区大手前一丁目5番44号 大阪合同庁舎第1号館3階〕

        • 中国経済産業局地域経済部産業技術連携課知的財産室

        〔広島県広島市中区上八丁堀6番30号 広島合同庁舎2号館3階〕

        • 四国経済産業局地域経済部地域経済課知的財産室

        〔香川県高松市サンポート3番33号 高松サンポート合同庁舎北館7階〕

        • 九州経済産業局地域経済部産業技術革新課知的財産室

        〔福岡県福岡市博多区博多駅東二丁目11番1号 福岡合同庁舎本館1階ロビー〕

        • 内閣府沖縄総合事務局経済産業部地域経済課

        〔沖縄県那覇市おもろまち二丁目1番1号 那覇第2地方合同庁舎2号館9階〕

        引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

        • 期間内に上記交付場所にて、直接交付を受けることが可能です。
        • 身分証明書の提示を求められる場合があるので、忘れずに持参してください。

        2023年最新の受験願書の提出方法

        期間:2023年3月15日(水曜日)~2023年4月5日(水曜日)【期限厳守・4月5日消印有効】

        注意:受験願書は郵送のみの受付になっています。

        <宛先>〒100-8915 東京都千代田区霞が関三丁目4番3号

        特許庁内 工業所有権審議会会長 宛

        引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

        • 必ず期間内に提出してください。
        • 受験願書と同時に交付する所定の専用封筒(受験願書提出用封筒)を用い、必ず郵便局の窓口で「簡易書留」扱いにして郵送してください。
        • 当該受験願書等は信書に該当するため、「郵便物」(第一種郵便物)又は「信書便物」で送付してください。
        • その他の方法(メール便等)で送付された場合は、消印ではなく、特許庁に到達した日が受付日となるので、注意してください。
        • 受験願書は1人1通のみ受け付け可能です。

        2023年受験票発送時期

        期間:2023年5月12日(金曜日) 予定

        • 受験票は、はがきサイズ(圧着はがき)で普通郵便にて発送されます。
        • 発送予定日から 約1週間が経過しても受験票が到着しない場合は、工業所有権審議会弁理士審査分科会事務局に問合せをしてください。
        • 短答式筆記試験で、全科目受験される方は<一般>、一部科目免除の方は<一部科目免除者>、全ての科目の免除の方は<免除>と記載されるので必ず内容を確認してください。
        • 論文式筆記試験(必須科目)及び(選択科目)については、試験が免除の方は<免除>と記載されていますので必ず内容を確認してください。

        受験票の再発行について

        誤って受験票を紛失してしまった場合は、速やかに工業所有権審議会弁理士審査分科会事務局まで連絡をしてください。

        2023年試験日時

        短答式筆記試験

        2023年5月21日(日)

        • 着席時間:12:00
        • 試験時間:12:30~16:00

        <合格発表 2023年6月12日(月)の予定>

        論文式筆記試験(必須科目)

        2023年7月2日(日)

        (特許・実用新案)

        • 着席時間:9:30
        • 試験時間:10:00~12:00

        (意匠)

        • 着席時間:12:55
        • 試験時間:13:15~14:45

        (商標)

        • 着席時間:15:10
        • 試験時間:15:30~17:00

        論文式筆記試験(選択科目)

        2023年7月23日(日)

        • 着席時間:9:30
        • 試験時間:10:00~11:30

        <合格発表 2023年9月25日(月)の予定>

        口述試験

        2023年10月21日(土)~10月23日(月)のいずれかの日

        日時等については、別途受験者に対して通知が届くので確認をしてください。

        <最終合格発表 2023年11月9日(木)の予定>

        2023年試験会場

        • 具体的な試験会場は、毎年4月頃に官報及び特許庁のホームページで確認ができます。
        • また受験票の圧着部分をはがすと、試験期日・時間と一緒に試験会場等が記載されています。
        • 受験票に記載されている試験会場以外での受験はできないので、試験会場をよく確認してください。

        2023年受験資格

        例年通り2023年の弁理士試験も、学歴、年齢、国籍等による制限は一切ありません。

        2023年受験手数料

        • 12,000円分の特許印紙を、所定の欄(特許印紙台帳)に貼り付けてください。
        • 特許印紙は特許庁内及び全国各地の日本郵便株式会社で販売しています。
        • 特許印紙に消印はしないでください。
        • 収入印紙では受付できませんので注意してください。(特許印紙以外を貼付した場合や特許印紙の額が不足している場合には、受験手数料未納として受験願書を返送、又は特許印紙の追加提出をお願いすることがあります。)
        • 受験手数料は弁理士試験を受けなかった場合も返還できませんので、ご注意ください。

          弁理士試験は科目別で行われる

          弁理士試験では、「筆記試験」及び「口述試験」を実施します。

          「筆記試験」に合格した受験者のみ「口述試験」を受験することができます。

          また、「筆記試験」は「短答式」及び「論文式」を実施し、「短答式」に合格した受験者のみ、「論文式」を受験することができます。

          ※なお、試験問題は、弁理士試験が実施される日に施行されている特許法等に関して出題されます。

          このように弁理士試験は、1日で終了する試験ではなく、試験科目毎に日時が分かれており、1つ目の試験科目に合格をして次の試験科目と、段階的に進んでいきます。

          「筆記試験」の5月からスタートして「口述試験」の10月まで、すべて順調に進めた場合、集中状態を保つのがかなり困難でしょう。

          少し気が遠くなりますが、程よく気分転換をしながら臨んでいきましょう。

          また弁理士試験には、試験科目別に免除制度があります。

          ご自身が該当する免除制度があるか気になりますよね。

          後ほど免除制度について徹底解説していきますので、しっかり確認をしてください。

          弁理士の試験科目別で違う難易度

          弁理士試験の難易度が高いというのは、みなさんご存知だと思いますが、試験科目によっても変わってきます。

          ここからは、試験科目別の詳細と難易度についてご紹介していきます。

          短答式筆記試験の難易度

          試験科目

          出題数は全60題です。

          • 特許・実用新案に関する法令20題
          • 意匠に関する法令10題
          • 商標に関する法令10題
          • 工業所有権に関する条約10題
          • 著作権法及び不正競争防止法10題

          出題形式

          五肢択一のマークシート方式です。

          • いわゆるゼロ解答(五肢に加えて「いずれにも該当しない」という選択肢を設けること。)は採用していません。
          • また、各科目の出題範囲は一部重複しています。
          • 合否判定の際に、各問題をどの科目のものとして取り扱うかは、試験問題において明示されます。

          試験時間

          3.5時間。

          合格基準

          総合得点の満点に対して65%の得点を基準とし、論文式筆記試験及び口述試験を適正に行う視点から、工業所有権審議会が相当と認めた得点以上であること。

          ただし、科目別の合格基準を、下回る科目が1つもないことが求められます。

          なお、科目別合格基準は、各科目の満点の40%を原則としています。

          難易度

          短答式筆記試験の過去5年間の合格率を見ていきましょう。

          →スクロールできます

          短答式筆記試験合格率
          2022年 10.3%
          2021年 11.3%
          2020年 18.2%
          2019年 18.3%
          2018年 20.1%

          引用元:特許庁ホームページ過去の試験統計 (2023年2月25日現在)

          やはり広範囲な科目ということもあり、合格率は低いですね。

          しかも年々下がっていることも、この表を見るとわかります。

          ですが2022年の合格者最年少は18歳、最年長は76歳でした。

          もちろん単純に年齢だけで判断はできませんが、いつからでも合格を目指せるという結果に、勇気をもらえる方もいるのではないでしょうか?

          この最初の大きな難関を突破するおすすめの勉強法については、後ほどご紹介していきます。

          論文式筆記試験(必須科目)の難易度

          試験科目

          工業所有権に関する法令(特許・実用新案、意匠、商標)

          出題範囲には、工業所有権に関する条約に関する規定が含まれており、工業所有権法令の範囲内で条約の解釈・判断を考査します。

          出題形式

          論文式 (試験では「弁理士試験用法文」の貸与があります。)

          試験時間

          特許・実用新案:2時間 / 意匠:1.5時間 / 商標:1.5時間

          採点について

          必須3科目のうち、1科目でも受験しない場合は、必須科目全ての科目の採点を行われませんので注意が必要です。

          科目合格基準

          標準偏差による調整後の各科目の得点の平均(配点比率を勘案して計算)が、54点を基準として口述試験を適正に行う視点から工業所有権審議会が相当と認めた得点以上であること。

          ただし、47点未満の得点の科目が1つもないことが求められます。

          難易度

          47点未満の得点の科目を出してはいけないので、バランスよく学習する必要があります。

          過去5年間の合格率は後ほどご紹介していきます。

          論文式筆記試験(選択科目)の難易度

          試験科目

          下表にある「技術」又は「法律」に関する科目から選択問題1つを選択します。

          ちなみに問題の選択時期は願書提出時になっています。

          →スクロールできます

          選択科目 選択問題
          理工Ⅰ(機械・応用力学) 材料力学、流体力学、熱力学、土質工学
          理工Ⅱ(数学・物理) 基礎物理学、電磁気学、回路理論
          理工Ⅲ(化学) 物理化学、有機化学、無機化学
          理工Ⅳ(生物) 生物学一般、生物化学
          理工Ⅴ(情報) 情報理論、計算機工学
          法律(弁理士の業務に関する法律) 民法、総則、物権、債権が範囲となります。

          引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

          出題形式

          論文式(「法律」に関する科目の受験者に、試験では、弁理士試験用法文の貸与があります。)

          試験時間

          1.5時間。

          科目合格基準

          科目の得点(素点)が満点の60%以上であること。

          難易度

          論文式筆記試験の過去5年間の合格率を見ていきましょう。

          →スクロールできます

          論文式筆記試験(選択科目)合格率
          2022年 26.3%
          2021年 25.1%
          2020年 25%
          2019年 25.5%
          2018年 23.9%

          引用元:特許庁ホームページ過去の試験統計 (2023年2月25日現在)

          短答式筆記試験ほどではありませんが、論文式筆記試験も合格率が低く、やはり難易度が高いですね。

          マークシート方式のように答えがしっかりある試験とは違い、論文式はこれが正しいのか判断が難しく試験対策が困難なのが、合格率を下げている要因でしょう。

          口述試験の難易度

          試験科目

          工業所有権(特許・実用新案、意匠、商標)に関する法令

          論文式筆記試験で確認された総合的思考力等に基づく口述による説明力を問う問題が出題されます。

          また、出題範囲には、工業所有権に関する条約に関する規定が含まれ、工業所有権法令の範囲内で条約の解釈・判断を考査します。

          出題形式

          面接方式(試験の際、事前に貸与する弁理士試験用法文を試験委員の許可を受けて参照することができます。)

          試験時間

          3科目(特許・実用新案、意匠、商標)それぞれについて、10分程度。

          合格基準

          採点基準をA、B、Cのゾーン方式とし、合格基準はC評価が2つ以上ないこと。

          A:答えが良くできている場合

          B:答えが普通にできている場合

          C:答えが不十分である場合

          難易度

          口述試験は弁理士試験の最後の科目です。

          過去5年間の合格率を見ていきましょう。

          →スクロールできます

          口述試験合格率
          2022年 96.4%
          2021年 90.2%
          2020年 98.6%
          2019年 95.6%
          2018年 94.0%

          引用元:特許庁ホームページ過去の試験統計 (2023年2月25日現在)

          この表を見てもわかるように、合格率は高いです。

          うまく話そうと意識し過ぎるのではなく、答えが不十分と判断されないように、落ち着いて学習してきたことを述べることが大切になってきます。

          弁理士の試験科目別おすすめ勉強法

          弁理士試験を合格するためには、試験科目別に対策をしていくのがいいでしょう。

          科目毎に難易度も違いますし、大きく特徴が異なることから、受験者によっては得意な科目、苦手な科目があるかもしれません。

          もちろん苦手な科目を減らすことが大事ですが、得意な科目をさらに得意にして、試験に向けて自信をつけるのも継続させるおすすめの勉強法です。

          以下では科目別での、おすすめな勉強法をご紹介していきます。

          短答式筆記試験はインプットと過去問の繰り返し

          弁理士試験は長期戦です!

          試験科目を段階的に進めていく必要があり、さらに広範囲の内容を学習することが求められるため、ついあれもこれもと手を出したくなります。

          しかしこの短答式筆記試験を突破しなければ、そこから先には進めませんので、まずはこの科目に集中しましょう。

          皆さん、できるなら1年で合格を目指したいですよね。

          しかし、それに向けてしっかり計画を立てても、その通りに学習がうまく進まないこともあるかもしれません。

          その時は、今回は他の科目は諦め、短答式筆記試験のみ合格を目指す潔さも、時には必要です。

          最終的な合格までは、複数回かけることになっても、実は合格までの近道になります。

          短答式筆記試験は範囲がとても広く、さらに細部までの知識を必要とされます。

          まず最初は、とにかくインプットを意識して学習を進めていきましょう。

          特に初学者の方は、最初からすべての内容を理解する必要はなく、概要や枠組みを把握し、理解を少しずつ広げていく方が、その後の学習もしやすいでしょう。

          その後ある程度理解が深まってきたら、過去問を解いてとにかく試験に慣れていきましょう。

          販売されているテキストや過去問などをうまく活用すれば、この科目は独学も可能と言えますが、初学者の方は、予備校等で学ぶことも選択肢に入れておくことをおすすめします。

          論文式筆記試験は合格者の視点で評価してもらう

          短答式筆記試験よりも試験範囲は狭くなりますが、問題への理解力が問われます。

          また、この科目は、自分の書き方で良いのか悪いのか、講師や合格者の視点で客観的な評価をもらうことが必要になります。

          弁理士試験では複数の採点者が採点を行いますが、格差が生じないように共通の採点基準というのが設定されています。

          市販の参考書もあまりないため、身近に合格者がいれば、お願いをして見てもらったり、予備校等で学ぶことをおすすめします。

          口述試験は独学では難しい

          ここまで来たら、あとは最終関門の口述試験!

          他の科目に比べ、合格率が高いためみなさん気を抜きがちですが、油断は禁物です。

          口述試験は、面接方式で行われるため、試験対策がやや難しい傾向にあります。

          試験官からの問題に対してその場で答え、順次試験室を移動する方法です。

          筆記試験の時とはまた違う、独特な緊張感の中で、判断力とその場での臨機応変さを求められます。

          独学でも可能ですが、対策がやや難しい試験なので、予備校などが実施している口述試験の模擬試験を利用することをおすすめします。

          弁理士合格を働きながらでも目指すには?

          この記事を読んでくださっている方の中には、働きながら弁理士試験を目指している方も多くいると思います。

          難易度が高い弁理士試験を、働きながらという忙しい中で、合格するにはどうすればいいのか?

          下記で働きながら合格を目指せる方法について、ご紹介していきます。

          勉強時間を確保のために逆算で計画を立てる

          弁理士試験の合格までの勉強時間は、2,000~3,000時間は必要と言われています。

          初学者の方はもっと必要な場合も考えられますし、以前少し勉強したことがあるなど、知識を持っている方はここまで必要ないかもしれません。

          どちらにしても、勉強をはじめる時に、なんとなくはじめるのは避けて、時間の確保をして計画を立てましょう。

          1日何時間なら確保できますか?

          休日は普段より勉強時間を多く確保できるなども含め、週で考えたら合計何時間確保できますか?

          ライフスタイルによって、確保できる時間は人それぞれですが、いかに工夫して日常に勉強時間を確保できるか。

          例えば、働きながら学習を進めていくには、自宅の机でしっかり勉強できる時間以外にも、通勤途中のバスや電車の中などスキマ時間をうまく活用しましょう。

          歯磨きをするのが当たり前のように、少し早起きをして勉強をするのも、習慣にできれば自然と勉強時間が増えます。

          そして、確保できる時間から、逆算して合格までの計画を立てましょう。

          はじめからきっちりし過ぎるスケジュール管理は、少しでもうまくいかなかった時に、自分にがっかりして継続が難しくなることがあります。

          ざっくりでいいので計画を立てるなど、時間の確保に関しては最初に考えておく必要があります。

          そして、あまり無理をして詰め込み過ぎても、逆効果なので息抜き時間も確保しておきましょう。

          免除制度を利用した2年計画

          弁理士試験の2022年合格者平均受験回数は3.4回でした。

          やはり1回で合格はなかなか難しいのが現実です。

          もちろんせっかく目指すなら早く合格をして、活躍したい気持ちもわかりますが、働きながら目指す方には2年計画で合格を目指すことをおすすめします。

          試験内容が広範囲で、そのための勉強時間の確保が難しく途中で諦める方もいますが、それは合格するまでの期間を、1年間で計画をしようとするからです。

          上記でも述べてきましたが、弁理士試験は段階的に進んでいく試験です。

          試験科目別に免除制度があるのでそれをうまく活用することで、さらに合格が身近になってきます。

          最初から2年学習計画を立ててみたら、やってみようかな?できるかも?というご自分の中でも可能性が出てくるかもしれません。

          ではどんな免除制度があるのか、下記で詳しく解説していきます。

          弁理士の試験科目別の免除制度を解説

          ここからは、弁理士試験の免除制度について解説していきます。

          少し複雑な部分もあるので、ご自分が該当するのかしっかり確認をしていきましょう。

          短答式筆記試験の免除

          短答式筆記試験に合格した方は、短答式筆記試験の合格発表の日から2年間、同試験が免除されます。

          受験願書提出時に「弁理士試験短答式筆記試験合格通知(写し)」を添付してください。

          引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

          上記で述べた、2年学習計画はこの免除制度を活用します。

          初年度は短答式筆記試験だけに集中して勉強を進め、無事合格をした時点で論文式筆記試験に向けて勉強をしていきましょう。

          もちろん過去に何度か弁理士試験をチャレンジされている方や、少し余裕がある方は、違う科目の勉強も少しずつはじめてもいいですが、とにかく1年目の目標は、短答式筆記試験合格です。

          そして2年目、短答式筆記試験が免除になっている間に論文式筆記試験と口述試験合格を目指しましょう。

          論文式筆記試験(必須科目)の免除

          論文式筆記試験(必須科目)に合格した方は、論文式筆記試験の合格発表の日から2年間、同試験が免除されます。

          受験願書提出時に「弁理士試験論文式筆記試験科目免除資格通知(写し)」を添付してください。

          引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

          こちらも短答式筆記試験と同じように、2年間免除されるので、1年ですべて合格するのが難しい方は、この制度をうまく活用して最終合格につなげていきましょう。

          論文式筆記試験(選択科目)の免除

          平成20年度以降の論文式筆記試験選択科目に合格した方は、永久に同試験が免除されます。

          受験願書提出時に「弁理士試験論文式筆記試験科目免除通知(写し)」を添付してください。

          引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

          こちらは永久に免除されるという点が大きなポイントで、この制度により長期的に計画が立てられます。

          大学院の短答式筆記試験の一部科目免除

          平成20年1月以降に大学院の課程に進学し、当該大学院において弁理士法施行規則第5条で定める工業所有権に関する科目の単位を修得し当該大学院の課程を修了した方で、工業所有権審議会から一部科目の免除の認定を受けた方は、弁理士試験短答式筆記試験の一部科目が免除されます。

          免除される科目は工業所有権に関する科目(特許・実用新案、意匠、商標、条約)で、著作権・不正競争防止法に関する科目のみ受験していただきます。

          一部科目免除資格の認定を受けるためには、事前に一部科目免除資格認定申請書や授業概要証明書など申請に必要な書類を工業所有権審議会にご提出いただき、書類審査を受けていただく必要があります。

          工業所有権審議会は、申請内容について、大学院の課程を修了しているか、授業概要が弁理士法施行規則第5条に定める科目に該当しているか、履修した単位数が弁理士法施行規則第5条に定める数を満たしているかなどを審査し、審査結果を申請者に通知します。

          なお、免除資格認定申請書及び授業概要証明書等に記載された個人情報等については、弁理士試験短答式筆記試験一部科目免除の免除資格認定に当たっての審査事務以外に使用することはありません。

          引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

          この免除制度は、通信制の大学院を修了した場合でも、弁理士法施行規則第5条に定める科目、単位数、授業の方法等に該当し、免除の基準を満たしていれば免除資格が認定されます。

          修士・博士等の学位に基づく選択科目免除

          修士、博士又は専門職の学位を有する方で、選択科目の免除を希望する方は、受験願書提出時に、工業所有権審議会が発行する免除資格認定通知書を併せてご提出いただく必要があります。

          免除資格の認定を受けるためには、事前に、免除認定申請書・学位論文概要証明書などを工業所有権審議会にご提出いただき、書類審査を受けていただく必要があります。

          工業所有権審議会は、提出された書類について、その内容が弁理士試験選択科目に該当するか、また、当該選択科目の免除が妥当であるか、を審査し結果を通知します。その際、申請いただいた選択科目ではなく、他の選択科目に該当すると判断した場合は、他の選択科目に適合するものとして、審査結果を通知します。

          引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

          免除を受ける際、免除資格認定通知書が必要となりますので、大切に保管しておいてください。

          行政書士登録者の免除

          特許庁が指定する他の公的資格を有する方は、永久に同試験が免除されます。受験願書提出時に、各試験ごとに定める証明書を添付してください。

          「公的資格による選択科目免除一覧」表に記載の公的資格をお持ちの方は、受験願書提出時に必要書類を併せてご提出いただくことで、同表に記載する選択科目が免除されます。

          引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

          良く知られているのが、行政書士の論文式筆記試験、法律(弁理士の業務に関する法律)の免除。

          他にも司法書士や一級建築士、また薬剤師などにも、他の公的資格による選択科目免除があります。

          特許庁に5年以上従事した方の免除

          特許庁で審判又は審査の事務に5年以上従事した方は、「工業所有権に関する法令」及び「工業所有権に関する条約」に関する試験科目が免除されます(著作権法及び不正競争防止法の試験科目のみ受験していただきます)。

          受験願書提出時に「特許庁長官が証明する書面」を添付してください。

          引用元:特許庁ホームページ (2023年2月25日現在)

          著作権法及び不正競争防止法の試験科目のみ受験となるので、試験時間は35分になります。

          また、論文式筆記試験(必須科目)や口述試験も免除されます。

          弁理士試験の免除制度よくある質問

          ここからは、弁理士試験の免除制度について、よくある質問をご紹介していきます。

          Q:筆記試験の免除期間が終了してから試験を再度受験し合格した場合はどうなりますか?

          A:弁理士試験では、試験科目の「短答式筆記試験」及び「論文式筆記試験・必須科目」に合格した場合、合格発表の日から2年間は、同試験が免除される制度があります。

          今回の質問内容のように、この2年間の免除期間が終了した後に、同試験を再度受験し合格した場合にも、改めて2年間の免除が適用されます。

          また、「論文式筆記試験・選択科目」に合格した場合、同試験は永続的に免除されます。

          Q:論文式筆記試験の必須科目、選択科目のどちらかを欠席した場合はどうなりますか?

          A:弁理士試験の「論文式筆記試験の必須科目・選択科目」は、各科目ごと、それぞれで採点されます。

          ただし、「論文式筆記試験」に合格するためには、「必須科目・選択科目」両方の科目で合格基準を満たす必要があります。

          「必須科目・選択科目」のどちらかを欠席した場合は、「論文式筆記試験」としては不合格となりますが、受験した科目が合格基準を満たしていれば、当該科目の免除資格を有することになります。

          Q:免除申請に必要な合格通知の再発行はしてもらえますか?

          A:ご自身で申請手続きを行って頂ければ、再発行が可能です。

          試験科目の免除申請に必ず必要となる書類ですが、時々紛失してしまったから免除申請を諦めようとする方がいますが、再発行をしてもらえるので申請手続きをしましょう。

          再発行が可能な書類等

          • 弁理士試験短答式筆記試験合格通知
          • 弁理士試験論文式筆記試験免除資格通知(必須科目)
          • 弁理士試験論文式筆記試験免除資格通知(選択科目)
          • 弁理士試験短答式筆記試験一部科目免除資格(条件付)認定通知書
          • 選択科目免除資格(仮)認定通知書
          • 弁理士試験合格証明書

          以下の要領により申請手続きを行ってください。

          申請方法

          申請書の必要事項を記入漏れなく記載し、必要書類とともに工業所有権審議会会長宛に郵送してください。

          なお、封筒の表に「免除資格通知等再発行申請書在中」等と朱書きしてください。

          宛名はこちら

          〒100-8915

          東京都千代田区霞ヶ関三丁目4番3号

          特許庁内 工業所有権審議会会長 宛

          提出書類

          (1)免除資格通知等再発行申請書(ワード:37KB)

          (2)本人確認ができる書類(運転免許証・マイナンバーカード(個人番号カード)等の写し)

          ※工業所有権審議会会長が発行した通知等と申請書の氏名が異なる場合は、氏名が変更になったことを確認できる書類(戸籍抄本、旧姓併記のある運転免許証・マイナンバーカード(個人番号カード)の写し等)を添付してください。

          (3)返信用封筒…長形3号(120mm×235mm)程度の大きさの封筒に、宛先(再発行された書類の送付先)を明記し、84円分の郵便切手を貼付してください。

          なお、簡易書留等による郵送を希望する場合には、404円分の郵便切手を貼り「簡易書留」等と明示してください。

          ※申請書等に記載された個人情報については、通知等発行及び郵送の事務以外に使用することはありません。

          受付期間

          受付期間は通年ですが、次年度の弁理士試験での免除を希望される場合は、締切期限があるので注意が必要です。

          当該年度の受験案内で、再発行申請の締切期限のお知らせを必ず確認してください。

          弁理士試験の受験時に注意する点とは?

          弁理士試験を受験する際に、注意する点をご紹介していきます。

          試験当日は、試験内容に集中することが大事です。

          何かあった時に慌てないためにも、ぜひ参考にしてください。

          試験開始に遅れても受験はできますか?

          弁理士試験は、開始時刻までに試験室に入室していない方の受験はできないことになっています。

          ただし、試験開始から30分以内で、かつ、遅れた理由が御本人の責によらないことを証明できる場合には、受験を認められる場合もあります。

          天候による交通機関の遅延なども考慮して、試験当日は早めに会場に到着しておきましょう。

          また受験地に複数の試験会場がある場合がありますが、受験票に記載している指定の試験会場以外での受験はできません。

          当たり前ですが、せっかく長時間勉強をしても、受験できなければ受かりません。

          必ず受験票に記載してある、指定会場の確認をしましょう。

          また試験前に、自宅から試験会場までの道順、早めに着いた際に待機できる場所、会場の入り口などを事前に確認しておくと安心です。

          試験時間中の飲食は可能ですか?

          短答式筆記試験及び論文式筆記試験の試験時間中においては、水分補給のために、ふた付きのペットボトル又はマイボトルに入った飲料を、1本(500ml程度)に限り飲むことが可能になっています。

          水分補給は大事ですが、あまり飲み過ぎるとトイレに行きたくなるので注意が必要です。

          また、あやまって飲料をこぼしたりしないように、試験の最中は机上に置かず、必ずふたをしめて足下に置きましょう。

          筆記試験の間、置き時計を机に出しておいてもいいですか?

          試験開始前までに監督員の確認を受ける必要がありますが、置き時計を机に出しておくことは可能です。

          また置き時計以外にも監督員の確認を受けることにより、ティッシュ・ハンカチ・耳栓・目薬・マーカー・ひざ掛け・座布団・定規・指サック・ストップウォッチなどが、使用可能になります。

          上記以外のものを試験中に使用したい場合には、特別措置の申請が必要になるので必ず確認をしてください。

          試験時間中にトイレなどによる離席はできますか?

          弁理士試験では、試験時間中のトイレの使用は原則禁止になっています。

          しかし生理現象ですし、やむを得ない場合には無理をせず、手を挙げて監督員の指示に従いましょう。

          トイレに行くことで時間を無駄にしてしまうのはもったいないので、試験当日の多量の水分摂取は控えた方がいいでしょう。

          試験時間終了前に退室することはできますか?

          弁理士試験では開始してから、短答式筆記試験は30分間、論文式筆記試験は60分間、退室することはできません。

          また、試験終了前の10分間も退室することはできません。

          これ以外の時間帯であれば、途中退室が認められているので、もし退室する際は、必ず挙手のうえ、監督員の指示に従ってください。

          短答式筆記試験のマークシートの記入はボールペンでもいいですか?

          短答式筆記試験のマークシートへの記入は、ボールペンは使用禁止になっています。

          必ずシャープペンシル又は鉛筆を使用してください。

          論文式筆記試験の答案用紙の記入をする際に注意すべき点はありますか?

          論文式筆記試験の答案用紙への記入は、必ず黒又は青のインクのボールペン、もしくは万年筆で丁寧に記載してください。

          消せるボールペンや、鉛筆及びサインペンは使用禁止になっています。

          まとめ

          ここ数年で、さらに難易度が高くなっている弁理士になるための国家資格。

          今回は試験科目毎のおすすめの勉強法や、わかりにくいが知らないと損をする免許制度について述べてきましたがいかがでしたか?

          難しい資格ではありますが、受験資格の制限がなく、頑張り次第で高収入も目指せ、やりがいもある弁理士はとても魅力的ですよね。

          働きながら、子育てしながらなど、目指している方々の状況はそれぞれ違います。

          ご自分のライフスタイルに合わせたペースの勉強法で合格を目指しましょう。

          よかったらシェアしてね!

          コメント

          コメントする

          CAPTCHA


          目次
          閉じる