車をローンで購入する際、月々の支払い金額で頭を悩ませている方も少なくないはず。
生活費やガソリン代なども考えると、車のローンも金額をなるべく抑えたいですよね。
マイカーローンの他に残クレ(残価設定型クレジット)というローンを選択できることをご存知でしょうか?
残クレは月々の支払い金額を抑えることができるので、月々の出費をなるべく抑えたいという方におすすめです。
ということで、残クレの仕組みやメリット・デメリットを解説していきます。
- 残クレの仕組み
- 残クレのメリット
- 残クレのデメリット
▽2021年カーリース部門3冠受賞▽
残クレとは何?仕組みをわかりやすく解説
残クレとは残価設定型クレジットの略で、通常のカーローンよりも月額料金を抑えることができるローンとして人気になっています。
まずは残クレの仕組みを以下に分けて解説していきます。
- 残クレとは|安い月額で車に乗る仕組みの1つ
- 残価の決め方
残クレとは|安い月額で車に乗る仕組みの1つ
残クレとは、月額の支払い金額を抑えて車に乗る仕組みの1つです。
契約時に、契約終了時の残価を設定して最終回の返済に据え置き、残りの金額を分割で返済していくというものになります。
残価は、正式には「残存価格」と呼ばれるもので、数年後に車を売却した際の予想下取り価格のことを指しています。
つまり、予想下取り価格を車両本体価格から差し引いた残りの金額を分割で返済していくことになります。
車両本体価格から残価を差し引いている分、月々の支払い金額がカーローンよりも安く抑えられるようになるので、月々の支払いを安く抑えたい方から特に人気の契約方法となっています。
残価の決め方
残価は、総務省が発表している「中古車残価率表」をひとつの目安として算出されています。
残価率とは、新車の時点での価格に対する残価の割合のことです。
使用年数 | 中古車の残価率(軽自動車) | 中古車の残価率(乗用車) |
1年 | 0.562 | 0.681 |
1.5年 | 0.422 | 0.561 |
2年 | 0.316 | 0.464 |
2.5年 | 0.237 | 0.382 |
3年 | 0.177 | 0.316 |
表からもわかるように、車の使用年数が長ければ長いほど、車の残価率は減少していきます。
400万円の新車を購入したパターンでシミュレーションしてみましょう。
購入時に400万円の新車が1年後に、400万円×0.681=272万4,000円になります。
3年後には400万円×0.361=144万4,000円になります。
2年間車の使用年数が長いだけで、残価がおよそ半額になってしまうことがわかります。
1年間で約70万円もの金額が変動していると考えると、驚きですね。
残クレ契約終了後に取れる3つの選択肢
残クレの契約終了時には以下の3つの選択肢があります。
- 車を返却して乗り換える
- 残価を精算して乗り続ける
- 返却する(手放す)
これらをその時のライフスタイルに合わせて選択できるのは、利用者にとってもメリットが大きいです。
それでは順番に解説していきます。
車を返却して乗り換える
残クレの契約期間終了時に車を返却して乗り換える場合、購入した販売店に車を返却し、乗り換える車を選びます。
乗り換える際は、原則として同じメーカーの車種に乗り換えることになっています。
同じメーカーで車を乗り換える場合、返却した車に設定されていた残価を支払うということはありません。
もし他のメーカーに乗り換える場合、購入した販売店で残価を精算してから、他のメーカーで購入手続きをする必要があります。
他のメーカーの車を乗るために残価を精算することを考えると、同じメーカーで乗り換えるのが良いでしょう。
車を乗り換える際には、同じメーカーで契約するかに関わらず、その車の購入手続きが必要になるので、乗り換えるための手間がかかることを押さえておきましょう。
残価を精算して乗り続ける
残クレは、契約終了時に残価を返済することで、同じ車に乗り続けることができます。
愛着の湧いた車に、契約終了後も乗ることを選択できるのは利用者にとっても嬉しいのではないでしょうか。
残価の返済方法は、一括返済もしくは再度ローンで分割するという2つの方法があります。
一括で返済するとなると、支払う金額が大きくなってしまい負担が大きくなりますが、再度ローンを組むことで負担を減らすことができます。
返却する(手放す)
契約終了時には、完全に車を手放すという選択肢も用意されています。
引っ越しなどによるライフスタイルの変化によって車が不要になってしまった方にとっては、乗らない車の車検代など支払う必要がなくなるので、最適な選択肢になるのではないでしょうか。
車を手放す際にも残価の支払いは不要なので、金銭的負担の軽減にもなります。
残クレのメリット6選
残クレを利用する上で見逃せないメリットを6つ解説していきます。
- 頭金や毎月の支払額を安く抑えられる
- 車の乗り換えを3~5年でできる(乗り換えしやすい、最新車種に乗れる)
- 下取り価格が保証されているので安心
- 中古車でもローンを組める
- 車検をしなくても済む(※3年契約の場合)
- お得な低金利キャンペーンを実施していることがある
順番に解説していきます。
頭金や毎月の支払額を安く抑えられる
残クレは、残価を最終回に据え置く返済方法のため、一般的なカーローンよりも毎月の返済額を安く抑えることができます。
また、頭金なしでもローンを組むことができるので、頭金を用意できない場合でも安心して利用することができます。
頭金を用意して契約した場合は、毎月の支払額を大幅に抑えることができます。
毎月の返済額を抑えることで浮いたお金を車の維持費や貯金に回すことができるので、余裕を持った生活をすることにも繋がります。
車の乗り換えを3~5年でできる(乗り換えしやすい、最新車種に乗れる)
同じメーカーの新車に乗り換える場合は、契約満了時に残価を支払う必要がないので、車を返却するだけで次の車に乗り換えることができます。
短期間で最新車種にも気軽に乗り換えることができるので、常に最新の機能を搭載した車に乗り続けることも可能になっています。
3〜5年の短期間で、気になる車や最新車種を乗ることができるので、いろんな車に乗ってみたい方には特に残クレの仕組みは重宝されるでしょう。
下取り価格が保証されているので安心
残クレでは、契約時に設定した下取り価格が保証されているため、市場価格によって下取り価格が下がる心配が不要になります。
通常、車の下取り価格は走行距離や年式などの影響を受けるので、年数の経過とともに下落していきます。
他にも、中古車市場での人気度などによっても下取り価格が変動してしまうので、運が悪ければ下取り価格が安くなってしまいます。
しかし、残クレでは契約時に設定した下取り価格が市場価値などによって下がらない保証がされているので、安心して車に乗ることができます。
中古車でもローンを組める
残クレは、新車だけでなく中古車でもローンを組むことができます。
中古車は新車と比べると販売価格が安いものが多いので、購入する車によっては月々の支払額を大幅に抑えることができます。
残クレの契約期間は3〜5年が一般的ですが、メーカーによっては、中古車の残クレ契約期間を1〜5年で設定できるところもあります。
新車に乗ることにこだわりがないのであれば、毎月の支払額を抑えるために中古車での残クレを契約するのも良いかもしれませんね。
車検をしなくても済む(※3年契約の場合)
3年契約で車を購入した場合に限りますが、車検を受けずに車を乗り続けることが可能です。
車検は新車登録から3年後に初回の検査が、それ以降は車齢に関わらず2年ごとに車検を受ける必要があります。
キャンピングカーなどの8ナンバーと言われている特種車の場合は、初回検査が登録時から2年となっており、それ以降は2年ごとに受ける必要があります。
初回の車検が登録から3年後となっているので、3年契約で車に乗る場合に限り、契約終了時に車を返却することで車検をせずに車を乗り換えることができるということです。
車検を受けることなく乗り換えることができると、車検代を節約することができるので、浮いたお金を次の車の頭金に使用することもできます。
短期契約をして、どんどん車を乗り換えたいという方にはありがたいポイントです。
お得な低金利キャンペーンを実施していることがある
残クレを利用するメーカーによって、低金利キャンペーンを実施していることがあります。
残クレ利用時の金利は2022年5月の時点で平均3〜5%となっていますが、低金利キャンペーンが行われているメーカーを利用すると、金利を1.9%まで引き下げることができます。
メーカーや店舗によってキャンペーンの開催時期などに差はありますが、販売店の決算期である3月やボーナス時期の7月や12月は売上を上げるために低金利キャンペーンを開催していることも多いようです。
この時期を狙うことで低金利で残クレを利用できる可能性が高くなります。
また、ボーナス時期は車を購入する人が増える時期でもあるので、メーカー側も車を購入してもらうために値引きなどを積極的に行なっています。
低金利キャンペーンと値下げ交渉をうまく組み合わせることができれば、さらにお得に残クレを利用できるでしょう。
残クレ7つのデメリット
残クレには以下7つのデメリットがあります。
- 金利・利息があるので支払い総額は高くなる
- 契約終了後、自分の車にするには追加費用がかかる
- 車のカスタマイズが出来ない
- 月間走行距離に制限がある
- 事故や走行距離超過などで追加料金が発生するリスク
- 乗換の場合は原則、同じメーカーの車を選ばないといけない
- 税金や車検支払いのタイミングはまとまった金額が必要
順番に解説していきます。
金利・利息があるので支払い総額は高くなる
残クレは、最終回に据え置かれている残価にも金利がかかってしまいます。
月々の支払額を抑えていても、元金が減るスピードは遅くなっているため、一般的なカーローンに比べて利息が膨らみやすい傾向にあります。
残クレの金利をカーローンよりも低金利に設定しているメーカーもありますが、契約満了後に残価を返済するために再ローンを組むとなると、高金利が適用されてしまうことがあります。
残クレの契約をする際には、月々の支払額だけでなく、利息分も含めた返済総額のシミュレーションをしておくと良いでしょう。
契約終了後、自分の車にするには追加費用がかかる
残クレは、契約終了後に車を乗り換える、もしくは返却することを前提としたローンとなっているので、自分の車にするには追加費用がかかってしまいます。
契約満了後に自分の車にするには、残価を支払う必要があるので一括返済もしくは再ローン契約をすることになります。
残価分の返済だけでも大きな出費となりますが、再ローンを組む際に高金利が適用される可能性もあるので注意が必要です。
よほど同じ車に乗り続けたい気持ちがない限りは、契約終了時に車を乗り換える方が、最新車種に乗れたり、低金利で利用できる可能性が高いので、お得に車に乗ることができますね。
車のカスタマイズが出来ない
残クレは、契約期間中に車を自由にカスタマイズすることができません。
残クレは、契約終了時に販売店に車を買い取ってもらうことで残価を精算する(もしくは下取りに出して乗り換える)ことを前提としています。
つまり、残価を担保するためにカスタマイズに制限が設けられていることになります。
カスタマイズして車の価値が下がってしまい、下取り時などに車の価値が残価を下回ると、契約終了時に差額を請求されてしまうので注意が必要です。
車をカスタマイズしたいという方は、一般的なカーローンを利用するか、後に元の状態に戻せるレベルのカスタマイズにしておいて、返却時に元の状態に戻すというのが良いでしょう。
月間走行距離に制限がある
残クレは、カーリースと同様に月間走行距離制限が設けられています。
走行距離も車の残価に大きく影響してしまうので、残価を一定の金額に保つために設けられています。
走行距離制限を超過してしまうと、契約期間満了時に追加料金を請求される可能性もあるので、毎日運転する方や長距離運転をする機会が多い方は特に注意が必要になります。
また、制限距離はメーカーによって異なるので契約前にしっかりと確認しておきましょう。
事故や走行距離超過などで追加料金が発生するリスク
残クレの契約期間中に事故を起こしてしまったり、走行距離を超過してしまうと、追加料金が発生する可能性があります。
事故やトラブルで車を損傷してしまった場合には、下取り価格を保証する条件が満たされないことがあります。
そうなってしまうと、契約満了時に追加の支払いが生じてしまうので、契約期間中の車の取り扱いには十分に注意が必要です。
乗換の場合は原則、同じメーカーの車を選ばないといけない
残クレの契約期間終了時に、車の乗り換えを選択する場合は、原則として同じメーカーの車を選択しなければいけません。
車を返却して同じメーカーの車に乗り換えることが基本的な流れになるので、違うメーカーの車に乗り換えるには、返却した車の残価を精算しなければなりません。
そうなると、残価を精算する手間や大きな出費が必要になってしまうので、同じメーカーの車を選択するのが良いでしょう。
税金や車検支払いのタイミングはまとまった金額が必要
残クレは、自動車税や車検代は自己負担になるので、定期的にまとまった金額の支払いが必要になります。
自動車税は1年に1回し払いがあり、車検は初回は購入から3年後でそれ以降は2年ごとに受けなければいけません。
自動車税は排気量により金額が異なりますが、軽自動車なら一律11,000円程度、乗用車なら25,000円〜となっています。
毎年この金額を支払うとなると、負担はやや大きいのではないでしょうか。
車検は、メーカーにお願いする場合4〜10万円ほど必要になるとされています。
メーカーではなく、車検専門店や民間の整備工場であれば2〜8万円ほどで受けることができます。
いずれにせよ、車検を受ける際には10万円ほどの費用が必要になるので、まとまった資金を準備しておかなければいけません。
残クレの契約年数が3年の場合は、車検を受けることなく乗り換えることができるので、車検代を節約することができます。
メーカーごとに異なる残クレの仕組み
残クレは各メーカーがそれぞれ用意しているので、基本的な仕組みは同じでも、詳しい内容やオプションは異なります。
そのため、乗りたい車のメーカーの残クレについてしっかりと確認し、無理のない返済プランを立てることが重要になります。
乗りたい車がまだ決まっていないのであれば、各メーカーの残クレの違いを比較し、自分に合ったプランから選択してから乗りたい車を探すという方法が良いでしょう。
メーカーによって金利が異なる
残クレに適用されている金利はメーカーごとに異なります。
各メーカーの金利を見てみましょう。
メーカー | 金利(%) |
スバル | 0.039 |
日産 | 0.049 |
マツダ | 0.299 |
ホンダ | 3.5(1.9%で利用できる車種も有) |
トヨタ | 3.7〜5.8(販売店によって異なる) |
スズキ | 3.9(軽自動車)、2.9(登録車) |
スバル | 3.9(販売会社によって異なる場合がある) |
ダイハツ | 販売店によって異なる |
金利を比較してみると、トヨタ・ホンダ・スズキ・三菱は金利が高いことがわかります。
一方で、日産・スバル・マツダの3社が圧倒的に低金利となっています。
金利の低いメーカーを利用したい方は上記の3社を利用するのが良いでしょう。
メーカーによってサービス内容が異なる
残クレはメーカーによってサービス内容が異なります。
各メーカーのサービス内容を見てみましょう。
横にスクロールします
メーカー | プランの種類 | 契約期間 | 中古車の利用 | 走行距離制限 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
トヨタ |
|
|
○:1〜5年契約 |
|
・月額の返済がない ・据置額保証条件あり |
日産 |
|
|
ー | 両プラン1,000km/月、1,500km/月から選べる |
・対象車種に限りがある
・残価保証条件あり |
ホンダ |
|
|
○ |
|
・残価保証条件あり
・毎月の返済額を3,000円から設定できる |
スズキ |
|
|
○ |
|
・スズキ安心メンテナンスパック付き ・残価保証条件あり |
マツダ |
|
両プラン3〜5年 | ○:2〜5年契約 |
|
・金利が低い
・車の使用について制限がないため、カスタマイズ可能 |
ダイハツ |
|
|
ー |
40,000km/3年 50,000km/4年 60,000km/5年
26,000km/2年も有 |
・3年間、3つの安心補償サービスが無料付帯
・据置額を自分で設定可能 |
スバル |
|
両プラン3・5年 | ○ |
|
・残価保証条件ありスマートプランU(中古車):・2回払いのため、購入時の負担を抑えられる |
三菱 |
|
|
○ |
|
スーパーマイカープラン(新車):・3つの修理費用補償と事故修復歴補償付き ・残価保証条件あり
・据置額は販売店が設定 |
よくある質問
残クレに関する質問は以下のようなものが多いので、解答していきます。
残クレはどういう人に向いていますか?
残クレは「決まった期間だけ車が必要な人」「数年で車を乗り換えたい人」に向いています。
残クレは3〜5年で契約するので、単身赴任の間や学生の間など、決まった期間だけ車が必要な人が利用するとメリットが大きいです。
車を一般的なカーローンで購入してしまうと、短い期間で車を乗り換えるというのは負担が大きくなります。
しかし残クレを利用すれば、3〜5年で車を返却するだけで新車に乗り換えることができるので、カーローンよりも少ない負担で車を乗り換えることができます。
残クレを使わず、お得に車に乗る方法はありますか?
残クレを使わず、お得に車に乗るにはカーリースを利用するのがおすすめです。
カーリースは、予算が少ない方でも安心して新車に乗ることができます。
通常のカーローンは月額の支払いの他に、車検代や頭金などのまとまった支払いが定期的に発生します。
一方でカーリースは、月額料金が少し高くなる代わりに、頭金が不要で車検代も月額料金に含ませることが可能になっています。
まとまった支払いもなくなり、毎月一定の金額を支払うだけで良いので、家計にも優しいというメリットがあります。